この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
それからほどなくして、母さまと私もお城へ向かいました。
若殿喜徳さまを、そして兄さま達を、お見送りするためです。
お城の三の丸から出立する若殿さま一行をお見送りするため、入口付近にはたくさんの民が集まっておりました。
その中にくら子さまとさき子さまのお姿を見つけたので、私達は挨拶を交わして、となりに身を寄せました。
「若殿さまのお見送りとなると、すごい人だかりですわね」
「若殿のお姿を間近で拝見できる機会なんて、滅多にございませんもの」
母さまとくら子さまのやりとりを聞きながら、私は利勝さまのお姿を待っていた。
利勝さまとは、あの日以来 お会いしていない。
けれど、次に顔を合わせた時には、絶対笑おうと決めていた。
利勝さまのお心を、これ以上煩わせたくはないから。
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