この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


「新撰組だ!」



誰かが小声でそう言った。



『新撰組』。



あれが、京の都で横行を重ねていた尊穰派を、取り締まっていたという剣豪達。



その人数は分隊されていたのか多くはありませんでしたが、度重なる戦火をくぐり抜けてきた猛者だけあって、みな強そうなお顔をなさっていて、とても頼もしく思えました。




新撰組隊士の方がたの後ろから、馬上姿で現れたお方もやはり洋装で、黒い洋服についている小さな金色の留め金(ボタン)が眩しく輝いておりました。



また ざわめき。



「新撰組副長の土方さまだ……!」


「あれが鬼の副長と言われる土方さまかい……」



まわりの人達の声で、馬上のお方が新撰組副長・土方歳三さまだとわかった。



(このお方が………?)



そのお顔は穏やかで、とても鬼には見えない。



「まあ!土方さまって、とても見目麗しいお方でいらっしゃるのね!」



となりにいたさき子さまも、そんな声をあげる。



けれど、そんなすごいお方が同行されることに、私の心は少しだけ緩んだ。





よかった。

土方さまがおられるなら、きっと安心だわ………。




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