この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
私の視線に気づいて、ご婦人がこちらを振り向いた。
知らない娘にじっと見つめられ、戸惑いながらも微笑を滲ませる。
不躾にまじまじと見てしまったことに私は焦った。
「あっ……!も、申し訳ございません!あの、今しがた“悌次郎”と聞こえたものですから、もしや白虎士中二番隊の伊東悌次郎さまのことではと思いまして……!」
「まあ……あなた、悌次郎のお知り合い?」
そのご婦人は驚いて目を丸くした。
私は苦笑してしまう。
「知り合いとまでは……。けれど私の兄のところへも、何度か遊びに来て下さったものですから。
私の兄は林八十治と申しまして、悌次郎さまと同じ白虎士中二番隊に配属されました。私は妹のゆきと申します」
名乗ってからお辞儀をすると、
「まあ、そうでしたの」
ご婦人は得心したように目を細め、その表情を柔らかく崩した。
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