この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
そばにあった下駄を足に引っかけ、急いで表に出る。
夕焼けの名残りの橙色と、月とともに東から染めてゆく藍色の空の下で。
玄関からほど近い門の内側に、待ち望んだ愛おしい姿が目に映る。
「利勝さま……っ!!」
利勝さまは、やっぱりいつもと変わらぬ不機嫌そうなお顔をして、こちらをちらりと見るとすぐそっぽを向いた。
明日にでもご挨拶に伺おうと思っていたのに。
利勝さまのほうから、こちらにいらしていただけるなんて。
嬉しさのあまり、利勝さまのすぐ目の前まで近づいてゆく。
暗がりのなか、そのお顔をよく拝見したくて。
「……お戻りなさいませ!お勤めご苦労さまでございました。おケガもなく、ご無事で何よりです」
「……ああ」
利勝さまはそっぽを向いたまま、唸るように返事を返す。
そんなお姿に、思わず目を細めた。
いいの。そんなところも大好きだから。
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