この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
相次ぐ敗報が続くなか、城下では出陣するその日を夢見て、兄さま達 白虎隊が訓練を重ねておりました。
兄さまはいつでも出陣できるよう、屋敷でも庭で剣の稽古をしたり、刀の手入れをしたりと、入念に準備をしております。
けれども、たとえ日新館で学べなくとも勉学は怠れぬと、夕方疲れた身体に鞭を打ち、漢文などを学びに出かけたりもしておりました。
そんな兄さまの姿を、私は感心しながら眺めていました。
ある日。裏庭の畑の手入れを終えて戻ると、居間で母さまと兄さまが膝を詰めて座り、何か話し合っているようでした。
「どうかしたのですか?」
私が声をかけるとおふたりは振り向き、
「ゆきか。たいしたことじゃないよ」
そうおっしゃって兄さまはいつも通りの笑顔を見せましたが、なぜか母さまの笑顔は悲しいご様子でした。
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