この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


ドキンと胸に痛みが刺す。



『敵兵の最も多きところ、敵情の最も集まるところ』……。



兄さま達は、そんな激しい戦場へ向かいたいと望まれるのですか……?



「そ……それで、萱野さまは 何と……?」



なるべく平常心を装って尋ねる。

もう以前のように激しく動揺したりしない。

それが兄さまの望むことではないと、充分承知しているから。



兄さまは不敵な笑みを見せた。



「我々の熱意を、しかと受け止めて下さったよ。

今まで俺達は学校奉行の監督下だったが、今後は軍事奉行の配下に移されることになった。

戦況は予断を許さず、いつでも出陣できるよう準備をしておけとのお言葉をいただいた」


「……それを母さまに、ご報告なされていたのですか」


「ああ、そうだ。寄合白虎隊はすでに越後口に出陣した。俺達も出遅れるわけにはいかないからな」



兄さまの瞳が、強い光りを帯びる。


心にたぎる思いそのままに、早く戦いたいと強い意志を見せておられる。


けれど強く握る拳に、焦燥感がうかがえた。



『早くいかねば取り残される』




そんな焦り。




………嘆願書を出してまで、

どうして 兄さま達は、戦地へ赴きたいと望むのですか?



まるで 死に急ぐかのように………。



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