この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
――――うそ。こんなことってない。
もうあきらめてた。
この恋は 叶わないものだって。
それなのに。
気持ちが緩んだのか、とたんに両の眼からほろほろと涙が溢れだす。
それを見て、利勝さまがぎょっとされた。
「ばっ……馬鹿!俺は笑顔が見たいって言ったんだ!泣くやつがあるか!」
あわてた声に、急いで私も涙を拭う。
「もっ、申し訳ありません!うれしくて つい……。
でも本当によろしいのですか?
私 調子にのって、また変なことを申してしまいますよ?」
それを聞くと、利勝さまはため息をついた。
「だろうな。別に構わん。ただし俺は何もしてやれないからな!期待するだけムダだぞ!」
気恥ずかしいのか、赤い頬に口を尖らせて、いつものようにそっぽを向いてしまう。
利勝さまのそういう子供っぽいところ 好き。
ぶっきらぼうだけど優しいの。
言葉にしたら、きっとまた叱られる。
――――どうしよう。
心の奥底から うれしさが溢れだす。
自然と笑顔が広がる。
(利勝さまは すごい)
ほんのひとつ 心を返してくれるだけで、
私の心に 百も千もあかりを灯す。
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