この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
――――季節は少しずつ秋へ変わりゆく。
だんだんと日も短くなった。
すっかり陽も落ちてしまった帰り道。
私の数歩前には、大好きな利勝さまの背中がある。
結局あのあと、せっかく来たのだからとさき子さまにお会いして、そのまま上がりこんでおしゃべりしていたら、
くら子さまが、「せっかくだから夕飯も一緒に食べていったらどう?」と、おっしゃってくださって、
下男の末吉さんにその旨をうちへ伝えに走らせてくれたので、
お言葉に甘えてお夕飯もご馳走になって帰途についていた。
末吉さんが送ってくれるはずだったのに、
「いい、俺が行く」と 当たり前のように利勝さまがおっしゃってくれたから。
だから私達はいま、ふたりきりで夜道を歩いている。
.