この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
砲声はいつのまにか止んでいた。
この風雨だ。停戦状態に入ったのかもしれない。
食事を済ませ暖をとらせてもらったあと、我々は隊長の指示で二隊に分けられた。
俺と雄治と俊彦は、日向隊長が率いる本隊に入った。
そしてさらに前進し、菰槌山に布陣することになった。
菰槌山に布陣してしばらくすると、日向隊長がおっしゃった。
「今夜はここに野営する!この雨だ。戦いは明け方になるだろう。いまのうちに皆よく休んでおけ。
私は戦略の相談と、食糧の調達に行ってくる。決してここを動くな!」
「「はい!」」
我々の返事に日向隊長は頷くと、暗闇の中 今きた道を単身戻っていった。
俺達はそれぞれ、雨を避けるために木の根元に腰を降ろす。
しかしここにあるのは松の木ばかりで、あまり雨避けの意味をなさなかった。
秋の雨は冷たい。
雨はいっこうに止まず、無情にも俺達の体温を奪ってゆく。
真っ暗で右も左もわからないようななか、俺達は身を寄せ合うようにして明け方を待った。
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