この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
翌日。朝から眩しいほど、よく晴れていた。
けれど 私の心はどんよりと暗い。
そんな私を見兼ねてか、朝食を終えた兄さまが、日新館へ出かけるとき、見送りに出た私におっしゃった。
「ゆき。今日 お前の『利勝さま』を、うちに連れてきてやるよ」
「え……っ」
「昨晩 父上にもおうかがいしたのだが、そいつを特定することはできなかった。
だが思い出したんだ。俺に心当たりがある」
兄さまは ふっと笑う。
(私のために、お父上さまにもおうかがいして下さったのですか?)
兄さまはきっと、私を喜ばせてやりたくて、いろいろとお考えになっておっしゃって下さったのでしょうけど。
(……私は)
「連れて来ないで下さい」
きっぱりと、言ってしまった。
兄さまはとても驚いたお顔をなさって、
「……どうしたんだ?もう一度、会いたいのだろう?会って、礼を言いたいのだろう?」
そう おっしゃるけれど。
「会えません!あんなご迷惑をかけて……!
とても申し訳なくて、顔など合わせられません!」
意地をはって顔を背ける私に、兄さまは困ったように頭を掻いた。