この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「そうか……。じゃあ、行ってくる」
それだけ言うと兄さまは背を向けて、風呂敷包みを携えて出て行かれた。
あわてて顔を向けたけれど、兄さまはさっさと門を出ていってしまい、そのお顔は見えなかった。
(兄さま……怒ったかしら?)
ほぉっとため息をついて、縁側に行き腰掛ける。
会いたくない訳じゃない。本当は 会いたい。
もう一度会って、きちんとお礼とお詫びを言いたい。
けれど、合わせる顔がない。
利勝さまに再び会えたとき、「お前のせいで、散々な目に遭った」――――なんて言われでもしたら。
もし 私を助けたことを、今頃 後悔していたら。
それを思うと 怖い………。
まさか兄さま、本当に利勝さまを連れて来たりしないわよね……?