この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


突然 轟音が鳴り響く。

炸裂音だった。俺達は反射的に身を伏せた。



一同の顔に緊張が走る。



敵の大砲が火を噴いた。
両軍の先頭部隊が、衝突したのに違いない。



(ついに戦闘が開始された……!! )



ブワッと風が巻き起こり、濃霧とは違う硝煙と火薬の臭いがここまで届く。



自然にゴクリとのどが鳴る。

日向隊長は戻ってこない。では 誰が指揮を?



残る将校どのは、もうひとりしかいない。
皆が残った将校・山内(やまのうち) 蔵人(くらと)さまの顔をうかがう。



銃声や砲声は絶え間なく響いてくる。
その音がだんだん近づいてくるように思えた。



「小隊長どの!どうなさるおつもりですか!? 味方が苦戦しておりますよ!?」

「我々も進軍しましょう!!」



隊士達が口ぐちに言う。



小隊頭 山内さまはしばらく考えたあと、皆に向かっておっしゃった。



「よし!我々も進軍するぞ!敵の姿が確認できるところまで前進だ!」


「「はい!!」」



俺達はいっせいに顔を輝かせる。



ついにきた。

俺達の、最初にして最後の戦いが。




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