この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「馬鹿やろうっ!八十っ!! ボーッとしてるな!やられるぞっ!!」
雄治の鋭い声が耳に突き刺さり、ハッと我に返る。
振り返ると、すぐ近くで草色も戦っていた。
――――そばにいる。一緒に戦っている。
それが、俺の心を勇気づける。
「ああ!! 悪い!!」
そう言った矢先に、ひとり敵兵が斬りかかってきた。
とっさに刀を避けた拍子に、雨でぬかるんだ地面に足を取られ、不覚にも転倒してしまう。
(―――!! しまった……!!)
「八十おっ!!」
敵と切り結んでいて、身動きがとれない雄治が叫ぶ。
これまでかと思うと、振り下ろされてくる刃より、俺は雄治の顔を見つめた。
雄治も。そんな俺を凝視している。
そのとき。
「―――八十治、よけろおっ!!」
声とともに、刀を振り下ろしてくる敵兵に誰かがドン!と、ぶつかった。
体当たりされた敵兵は不意をつかれて地面に倒れ込み、俺のかわりに刀を突き刺され、悲鳴をあげて絶命した。
体力はまだ残っているはずなのに息があがる。
胸が大きく隆起する。
(助かった……!! )
「八十治!まだ死ぬなよ!?」
「和助……!! すまん!!」
窮地を救ってくれたのは、同じ白虎隊士の石田 和助。
和助はニッと不敵に笑うと、刀を振り回しながら次の敵に向かい駆け出していった。
「八十!! 大丈夫か!?」
切り結ぶ音があちこちで響くなか、敵をなんとか斬り伏せた雄治が駆け寄ってくる。
「ああ……!! なんとかな!! 」
俺の言葉に頷くと、雄治は休む間もなく襲いかかってくる敵兵の刃を刀で受けた。
奮闘する仲間達に遅れをとらないよう、俺も立ち上がり、再び敵兵に向かってゆく。
「おおおおおぉっ!!」
――――刀を奮いながら思った。
皆の気持ちは同じだ。
なんとしても城下への敵の進攻を阻止するんだ。
この国を守るんだ。
たとえ この身は捨てても、大切なものを 守り抜く。
――――負けるものか!!!
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