この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「連れては来なかったが、お前の恩人が誰かはわかった」
玄関で兄さまは、まつが運んできた水を張った盥で足を濯ぎながら、そうおっしゃった。
「……本当ですか!?」
私は思わず、その話に飛びついてしまう。
「それで、利勝さまは!? いかがでしたか!?
厳しい罰を受けたりなさいませんでしたか!?」
袖をつかんで 詰め寄る私に、兄さまは、含んだ笑みを見せるだけ。
「兄さま!?」
「まあ、そう焦るなよ。続きは、部屋へ行ってから話そう」
手拭いで洗った足を拭くと、兄さまは立ち上がり
自室へと向かう。
私もあわててその背中に追いすがった。