この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


「―――馬鹿やろうっ!! くだらない挑発に乗って、命を無駄に捨てるんじゃない!!

お前はそれでいいのか!? 望みはそれで果たされるのかよっ!?」



見上げて怒鳴りつけると、雄治も真っ赤な目を向けて怒鳴り返してくる。



「だからだよ!だから俺はまだ戦いたいんだ!! 望みを叶えるために!!

だが捕虜になることを恐れて戦おうとしないなら、どこで死んでも同じことだ!!」



その強い瞳が、俺の心を鋭く射る。



(―――ああ そうか。そうだったな)



お前の望みは、お前ひとりのものじゃなかったな。

その望みを一緒に祈る、ゆきが いたもんな…………。





「……雄治。俺もまだ戦う」



俺はまっすぐに雄治を見た。

その視線を受けて、雄治の瞳から怒りの色が消えてゆく。



「そうだ。俺も戦う」

「俺もだ。まだ戦いたい」



俊彦や井深も、そう言って立ち上がってくれる。



「……そうだな。まだできることがあるはずだ。
刀だって、俺達の会津魂だって、まだ折れちゃいないんだからな」



西川どのがつと目を細めてそう言うと、周りにいた隊士達も波紋が広がるように頷いてくれた。

その様子を見ていた篠田どのが、皆を諭すように言った。



(いさか)いはよそう。俺達は仲間だ。

白虎隊は戦うときも死ぬときも 皆一緒だ。腹を切るなら全員でなくては意味がない。

今は……もう少し状況を探ろう」



篠田どのは平素から、仲間との約束を一度も(たが)えたことがなかったという。
だからこそ彼の言葉は信頼でき、皆が素直に従った。



「お前の親父どのは立派な方だ!それはそばにいた宰相さまが、一番よくご存知のはずだ!!」



雄治に近寄り、そう言って肩を叩くのは野村どの。



肩を叩かれたからか、その言葉のおかげか、雄治の身体から力が抜け、その表情が和らいだ。



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