この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「ともかく城を目指そう。城に戻れば食糧もあるし、体力をつけてまた戦うことができる」
「そうだな」
西川どのの言葉に、篠田どのも頷く。
「みんな。もう少し頑張ろう。城に戻れば、また新たに指示がもらえるはずだ。
味方はまだ戦っている。俺達もまだ役に立てることがあるだろう」
篠田どのがまた皆を勇気づけて励ますと、一同は頷いて、気力を振り絞るようにして立ち上がった。
「よおし!みんな!元気出して城を目指そうぜ!」
野村どのが明るく声をかけ歩き出す。
皆がぞろぞろと続くなか、和助も井深や俊彦に助けられて歩き出した。
雄治は大きく息を吐くと、小刀を鞘に納める。
「すまん……八十」
微かに口を尖らせて、気恥ずかしそうにつぶやく雄治に、つい目を細めた。
「情けない顔をするな。まだ戦うんだろう?
だったら、もっと強い顔をしろ」
立ち上がって拳で奴の肩を小突くと、雄治はそれに答えてニッと笑った。
………俺は隠れて、大きく安堵の息をついていた。
よかった。城まで行けば、まだ希望を持てる。
お前を再び、ゆきと会わせる希望が。
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