この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
俺達は再び歩きだす。
ただただ、一路 城を目指して。
先頭には篠田どの。
その次を、野村どのに簗瀬どの、西川どのと続く。
そしてそのあとをはぐれてしまわないよう、俺達は進んでゆく。
俺のとなりには雄治。
前には井深と俊彦が、両脇から和助を抱えるようにして歩いている。
ふと 気づく。
そして後ろを確認してから、前を歩く井深に尋ねた。
「井深。悌次郎の姿が見えない。お前、一緒じゃなかったのか?」
多少 不安の色を浮かべてしまう。
けれども井深は、不安のかけらも見せずに穏やかに答えた。
「悌次郎は津田どのと一緒に、負傷した池上を助けて俺達のあとをついてきているはずだ。
あいつのことなら心配いらない。昔よくここらで遊んでいたから、道に詳しいはずだ」
前を向いたまま、断言するように強く言う。
あるいはそう己自身に言い聞かせているのかもしれない。
無事でいてほしいという願いと、あいつなら大丈夫だという強い信頼。
そんな井深の気持ちが、言葉から伝わってきた。
だが……この時すでに悌次郎や津田や池上が、山中で敵の銃弾に斃れていたことを、
俺達は知る由もなかった。
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