この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


ゆきが自分の想いを告げるかどうかは自由だ。

そして雄治がどう(こた)えるのかも。



ふたりがどう訣別するかは、自分達で選ばなければならない。





………だが、どうやらふたりは、決心がついたようだった。

それは、あの別れ際のやりとりで容易に理解できた。



きっとふたりは、この状況になって初めて、お互いの心が深く結びついたのだろう。



だから雄治は、まだ戦う気持ちを持ち続けている。

ゆきとともに、自分の望みを叶えるために。



なあ、ゆき。

俺はこいつと友でいれたことを誇りに思ってるよ。

お前の惚れた相手がこいつでよかったと、今では心底そう思ってる。





―――なあ、ゆき。お前は気づいてないだろう?



小さく寝息をたてるお前のとなりで、夜を明かしたあの日。



俺はあの日、お前への想いに訣別しようと決めたんだ。



明け色に染まる、お前のその滑らかな額にそっと口を寄せて、

今までの想いに別れを告げたんだ………。





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