この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「ともかく、ここを離れるぞ!!」
無事な左腕を肩に背負うと、雄治の身体を引き上げる。
「うっ」 と、雄治の口から苦しい音が漏れた。
雄治は腰を撃たれて、足が思うように動かない。
銃弾を避けるため身体をなるべく低くし、這うようにして雄治を引きずり、仲間のところへ戻ろうとした。
だが、なかなか思うようにいかない。
(俺の身体が小さいせいか……!)
「くそっ!!」
言い捨てて立ち上がると、今度は雄治を仰向けにさせて背後から両脇に腕をまわし、羽交い締めにして引きずろうと再度力を振り絞った。
そこに銃声と同時に、左肩に痛みが走る。
「うぁっ……!」
声が漏れて、ドッと後ろに倒れた。
「八十っ!!」
雄治が驚いて俺を見上げる。
その身体を起こそうとするが、痛みでたちまち顔が歪んだ。
「くっ……!気にするな、かすっただけだ‼︎」
痛みをこらえて起きあがり、もう一度 雄治を抱えて引きずり始める。
傷を受けた左肩が刺すように痛い。
だが 雄治のほうが、もっと苦しいはずだ。
(早く仲間のところまで連れていってやらないと……!)
心ばかりが焦り、それとは裏腹に成果はいっこうに上がらない。
(―――なんと情けないことか!! 八十治!! )
お前の力はこんなものか!?
いったい今まで、何の鍛練を積んできたというのだ!?
己を罵倒し、渾身の力を振り絞る。
自分の体格を、今ほど悔やんだことはない。
俺は 非力だ。
こうなる前に、雄治を引き止めることができなかった。
負傷した雄治を、仲間のところまで満足に連れていってやることもできない……!!
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