この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
すっかり気を落とした私に、気づいたのか、気づかないのか、ともかく 兄さまは話を続けた。
「兄として俺からも、あいつにようく礼を言っといたぞ。
あいつは罰を受けたことなぞ気にしちゃいない。そんなことはしょっちゅうだからな」
と、何かを思い出したように兄さまはくっくっと笑いを漏らす。
………なんだ。
兄さまはやっぱり、利勝さまと親しいんじゃないですか。
ならどうして、私が利勝さまのことをお尋ねしたとき、兄さまはすぐに思い当たらなかったのかしら?
「妹が掟を破らせてひどく落ち込んでいると話したら、“俺はもう忘れたから、そう気に病むな”と伝えてくれって言われたよ。
だからお前も、もう済んだことだから気にしなくていい」
………え?
「で……ですが。私はまだ、お礼もお詫びも申しておりません!それなのに、もう済んだことなどと申されては……!」
「礼も詫びも、この兄がしておいた。あいつも、もういいと言っている」