この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
掃除があらかた片づいた頃には、もう陽はかなり西に傾いていた。
轟音が鳴り響くたびに、薄くたなびく雲の下を、鳥達がせわしなく飛んでゆく。
私もその砲声に、不安を掻き立てられる思いだった。
カラスも山に帰ってきたのか、弁天山の稜線でしきりに飛び交う姿が見られる。
夕暮れに映るその影を、なんとはなしに見つめていると、ひとりの村人があわてて飛び込んできた。
「おさきさん!弥平さん!た……大変だ!!」
その声に、何事かとおさきさんやまつ、そして弥平太さんが入口から顔を出す。
「なじょしたんね、そんなにあわてて」
急いで走ってきた村人は、両膝に手をおき、肩で大きく息をして呼吸を整えてから、青ざめた顔で皆を見回すと口を開いた。
「べ……弁天山の中腹で、お味方の兵士がたくさん死んどる。
まだ子供じゃった。あれはたぶん、白虎隊の皆さまだ」
―――その村人が言うことには、無数のカラスが弁天山の上でしきりと騒ぐので、不思議に思って山を登り、カラスの鳴く場所へ行ってみたのだという。
そこにはたくさんの少年武士の屍が、寂しく無惨に横たわっていた。
それを見てあわてて、とりあえず報告にと大急ぎで駆けてきたのだ。
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