この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
ふっと、目が覚めた。
辺りは暗い。まだ陽は昇っていない。
もう少し寝ようと寝返りをうち、ふと気づく。
(私……いつ休んだのかしら?)
記憶をたどる。
けれど目覚めたばかりのせいか、頭の中がはっきりしない。
しばらく何も考えられずにいると、だんだん目が慣れてきて、
私は閉ざされた小さな部屋の一角で、ひとり布団に横たわっているのだと認識できた。
(………母さまやまつは、どうしたのかしら?)
部屋の外が、なんだか騒がしい。
まだ夜が明けてないのに、どうして?
「何とか無事 終わりました」
「ご苦労さまでした……。あなたがたと村の方がたには、本当にどうお礼を申せばよいか……」
母さまと、弥平太さんの声……?
私は寝床から起き上がり、耳を澄ます。
「礼には及びません。国難のために尽力した方がたを、あのように野にさらしておくのは、人の道に外れると思ったからです」
「けれどもこのことが敵兵に知れたら、どんな罰を受けるか……」
「その時はその時です。まつだって、八十治さまをあのままにしておくのは忍びないだろう?」
弥平太さんの言葉に、止まっていた記憶が動き出す。
………兄さま。
首のない 兄さまの無惨なお姿。
そして大好きな 利勝さまの――――。
「―――ああああ!いやああ――っっ!!!」
悪夢のような光景が甦り、その現実を受け入れることが出来ずに叫ぶ。
――――思い出した。
私は、兄さまのあまりに酷いお姿に、気を失ってしまったんだ。
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