この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
だから私は 機会を待った。
ほとぼりがさめて、また外出を許してもらえるようになるまで。
そして、あの日から十日ほど経った頃の午後。
一緒にお針仕事をしていたおりに、母さまのご機嫌を伺いつつ、私はもう一度、外に出てもいいかお願いしてみた。
「母さま。……私、もう一度、外に出てみたいんです」
私の言葉に、母さまは驚いた表情をこちらに向けた。
驚くのも頷ける。
だって私は あの日以来、ひとりで外出したことを悔やんで、ひどく塞ぎ込んでいたのに、それが急に手のひらを返したようなお願いをするのだから。
「けれど、お前……」
「母さま お願いです。このまま一生、外に出ない訳にはいかないでしょう?
外に出て困ったことがあったら、ちゃんと誰かに助けを求めます!それに夕暮れまでには必ず戻ります!
だから……どうかお願い!私を信じて?」
母さまの目をまっすぐ見つめて、私は懇願する。
思い詰めたような娘の表情に困惑しながらも、しばらく考えていた母さまは、ため息をひとつついたあと、優しく目尻を下げておっしゃった。
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