この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
利勝さまに会えるかどうかはわからない。
けれど、利勝さまと会ったあの場所へ行けば。
あの田圃の中に立つ、大松の下で待っていれば。
もう一度、利勝さまに会えるかもしれない。
はやる気持ちを抑えながら、ドキドキと高鳴る鼓動に耳を傾けながら。
私は出来るかぎり早く足を進めた。
あの日のことを思い出して、利勝さまと歩いた道をたどってゆく。
境内に竹林の生い茂るお寺を過ぎ、広がる田圃を横目に、川を越えるために橋を渡る。
あの日はだいぶ陽が落ちていたけど、多分こっち。
私は思うままに足を進める。
まわりの人の視線なんか、気にしていられない。
変な歩きかたをする、みっともない姿を見られたってかまわない。
早く早く、あの場所へ。
利勝さまが通るだろうあの道へ。
――――けれど。
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