この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
―――考えてみれば。
あの日私は、楠さまのお屋敷から出たあと、道に迷ったすえにあの大松の下に行き着いたんだっけ。
利勝さまの後をついていったおりも、最初のうちは追いつくのに必死で、まわりの景色がどんなだったかまったく見ていなかった。
ここはどこ?
田圃のほうを目指していたはずなのに。
私はいつのまにか、商店が軒を連ねる賑やかな場所に来ていた。
(……なんで?なんでこんなところに出るの?)
田圃を目指そうと、あわててくるりと踵を返し、再び足を踏み出したとき。
なぜか左足に、違和感を感じた。
感じるはずのない、左足。
だって私の左足は、膝から下は石のように固くて、何も感じたりしないはずなのに。
足元を見てみる。左の下駄の鼻緒が切れていた。
感覚のない足だから、鼻緒が切れたことも気づかずに、足に絡みついた下駄ごと引きずっていたらしい。
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