この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
左のつま先は絡んだ下駄からはみでていて、そこが地面と擦れていくつか傷ができていた。所どころ血も滲んでる。
痛みなんかない。
けれどこのままでうろうろと歩くわけにもいかず、私は立ち止まってしまった。
(……困ったわ。これでは利勝さまを探しにいけない)
『困ったことが起きたら、誰かに助けを求めなさい』
―――母さまの言葉。
私はおもてをあげ、辺りを見回した。
商店が立ち並ぶここは、人の往来がとても多く、やかましいほどの賑わいを見せている。
軒のあちこちから、商品を売り込む商人の声。
立ち話をするおばさん達は、楽しそうに話に花を咲かせている。
思わず目を止めてしまいそうな、多彩な品々もとてもキレイ。
きっと、こんな状況じゃなかったら、心が弾んでいたのでしょうけど。
でも、こんなにたくさんの人がいるんですもの。
声をかければ、きっとどなたか助けてくれる。
「あの……!」
目の前を通り過ぎる人に声をかけようとするけど、私の声は目の前を通り過ぎた荷車の音に、あっけなく掻き消された。
何度も声をあげるけど、忙しさにせわしなく行き来する人達は、子供の私なんか見向きもしない。
声をかけそびれて、立ち往生する私……。
じんわりと、涙で視界が滲んでくる。
そんなとき。
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