この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
と。その背中が、門の手前でピタリと止まる。
いつのまにかすぐ後ろにまで距離を詰めていた私は、顔をあげた拍子に利勝さまの背中にぶつかった。
(なっっ!……なんで止まるのっ!? )
「―――雄治!! 」
(……あ。この声は……!)
打った鼻をさすりながら、私の首筋にギクリと冷たいものが走る。
利勝さまの背中で視界を覆われて、門の外は見えない。
でも門下の階段を、誰かが駆け上がってくる音。
すぐにわかった。
「妹が、お前に会うために、出かけたそうなんだ!
どこか行きそうな場所に、心当たりはないか!?」
ハアハアと息も絶え絶えな、けれども切羽詰まった声。
(……兄さま)
私を心配して、探しに来てくださった……。
「ここにいる」
利勝さまがひょいと身体を避けると、私と兄さまの姿が互いにあらわとなった。
「……ゆき……っ!!」
「兄さま……」
兄さまは私を認めると、汗だらけの顔を目一杯しかめる。
「この、粗忽者っっ!!!」
今まで聞いたことがないほどの、兄さまの怒声が辺りに響き渡った。
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