この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
「私!もう二度と利勝さまにご迷惑をおかけしませんから!
突然姿を現したりして、驚かせたりしませんから!
だからっ……!安心してくださいね!?」
「何言ってんだ……」
となりの兄さまが、呆れてつぶやく。
………本当は。
『もうご迷惑をおかけしませんから、また会いにきてもいいですか?』
って、訊きたかった。
けどそれさえ迷惑になりそうで、どうしても口に出せなかった。
利勝さまは戸惑うように少し視線を揺らしたあと、私を見て、コクンと頷いて下さった。
それを見て、私の頬はホッとして緩む。
(……よかった。ちゃんと言えた……)
再び背を向けて歩きだす利勝さまの背中を少しのあいだ眺めたあと、小さく息を吐いて兄さまを振り向く。
「気持ちが晴れました!兄さま、さあ帰りましょう!」
兄さまも苦笑いで頷くと、私を気づかい、ゆっくりと歩調を合わせて歩み始めた。
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