この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
兄さまもお茶に誘ったのだけれど、当たり前のことながら 「俺はいい」 と断られてしまったので、
お茶だけ兄さまの部屋に置いてきて、私と母さまは台所でお茶にすることにした。
仕事をしていたまつも、一緒に誘って。
まつが仕事があるのでと断るのを、無理やり引っ張ってきて座らせてから、私は今までのことを、すべて母さまとまつに語った。
まずは以前お使いに出たおりに、道に迷った私を助けてくれた利勝さまのこと。
そして今日、利勝さまを探しに出かけた先で、また迷子になって、さらにケガまでしてしまった私を、思いがけず助けて下さった方たちが、
利勝さまの母君と姉君だったという経緯を、ふたりに話して聞かせた。
「まあ……!なんという偶然なんでしょう!」
まつは感嘆して吐息を漏らす。
私もそう思った。
今日はもう会えないと、あきらめてたのに会えた。
しかも利勝さまのご自宅で。
こんな幸運なことってない………。
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