この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
 


兄さまもお茶に誘ったのだけれど、当たり前のことながら 「俺はいい」 と断られてしまったので、

お茶だけ兄さまの部屋に置いてきて、私と母さまは台所でお茶にすることにした。
仕事をしていたまつも、一緒に誘って。


まつが仕事があるのでと断るのを、無理やり引っ張ってきて座らせてから、私は今までのことを、すべて母さまとまつに語った。


まずは以前お使いに出たおりに、道に迷った私を助けてくれた利勝さまのこと。


そして今日、利勝さまを探しに出かけた先で、また迷子になって、さらにケガまでしてしまった私を、思いがけず助けて下さった方たちが、

利勝さまの母君と姉君だったという経緯を、ふたりに話して聞かせた。



「まあ……!なんという偶然なんでしょう!」



まつは感嘆して吐息を漏らす。

私もそう思った。

今日はもう会えないと、あきらめてたのに会えた。

しかも利勝さまのご自宅で。


こんな幸運なことってない………。


< 80 / 466 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop