この空のした。〜君たちは確かに生きていた〜
さき子さまは驚いてまんまるの目をしたあと、ひと呼吸してからさらに問いを重ねた。
「それから……。今もおゆきちゃんは、あの子を『利勝』と呼んでいたけど、どこからその名を?あの子がそう言ったの?」
言われて、心がズキンと痛む。
自然と俯いて、視線が脇の畳の目に落ちた。
「……そうです。屋敷まで送って下さったおりに、雄治さまがそう名乗られたのです。
……けれど、もういいんです。偽りの名を言われるほど、私は嫌われてますから………」
――――『嫌われてる』。
自分で言ったのに。心が沈んで、泣きそうになった。
けれど、さき子さまは声をあげて笑うの。それはそれは愉快そうに。
私は驚いて、泣くのも忘れてポカンとした。
「ご、ごめんなさい!笑ったりして……!! けどね、おゆきちゃん、それは違うわ。
『利勝』という名は、あの子にとって、とても大事なものなのよ」
「え……?」
とても 大事なもの………?
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