青空バスケ―2nd―
「えっ……ちょっ……高瀬先輩、正気ですか?」
花井君が目を見開き、驚きながら大和に聞く。
「正気。
何か、これ食ったら逆に良いこと起こりそうじゃね?」
そう言いながら蓮ちゃんに目配せをする大和。
蓮ちゃんは大和の意図が分かったのか、すぐに立ち上がってあたしの前まで来た。
「じゃあ、俺も食おうかな」
蓮ちゃんがそう言うと、大和はニヤリと笑いながらロッカールームにいる部員達を見回した。
「まさかお前ら……部長と副部長に食わせて、自分達はそのまま過ごそうとか思ってねぇよな?」
ゲッ……とその場にいた全員の表情が固まる。
「い、いや……だって、先輩達が勝手に食べるって言い出したんじゃないですか~……」
「じゃあ、あれだ。
部長命令ってことで」
「そ、そんな!
職権乱用っすよ~!」
「栞奈、全員分ある?」
「え?えーっと……」
あたしは持ってるチョコの数を確認する。
「うん。抹茶納豆オレンジも混ぜればあるよ」
「……岬。
それって、前大和に食べさせたヤツ?」
「そうだよ。
蓮ちゃんはこっちね」
「は!?
い、いや……俺はヨーグルトの方で間に合ってるっていうか……」
「大丈夫!
大和も一緒だから!」
この後ロッカールームは悲惨なことになったけど……でも、みんな気合いが入ったみたいだし。
結果オーライってことで。