青空バスケ―2nd―
監督はきっと選手のいろんな面を知っている。
あたしでは知り得ることのできない……たくさんの部分を。
途中で目標を諦めざるを得なくなった教え子達を見て……
そのまま引退をしていく先輩達を見て……
……一番悔しかったのは、監督なのかもしれない。
「あ……また入った」
さっきまでの試合が嘘だったかのようにシュートを決めていくみんな。
前半、大幅に開いた三里との点差がぐんぐん縮まっていく。
「……本当にしぶといな、高瀬は」
「え?」
「アイツはいつも途中から力を発揮する。
それに押され、周りもそんな高瀬についていこうとする」
……大和の力に押されて、か。
「岬、気づいてないだろ。
アイツが何で試合の途中であんな力を発揮できるのか」
「え……何かあるんですか?」
今までコートの方に視線を向けていた監督が、あたしの顔を見た。
「岬、お前自身だよ」
え……。
……あたし自身?