青空バスケ―2nd―
「……海里」
俺が声をかけると、海里はゆっくりと顔を上げた。
「大和さん……」
「……いい試合だったよ」
「やっぱ……すごいっすね、大和さん。
さすが俺がリスペクトしただけありますね」
……海里は無理して笑ってるようにしか見えなかった。
強がってるようにしか……見えなかった。
「……泣けよ」
「え?」
「泣きたかったら泣けよ。
……無理して強がって作り笑い浮かべて、それで姉ちゃんが喜ぶと思うのかよ」
「けどっ………」
「泣いたからって……お前が子供だってことにはなんねぇだろ。
……悔しかったら泣け。
思う存分泣いて、ここで全部吐き出して……それでお前は一回り成長していくんだよ」
「っ………………」
「スッキリした、少し成長した顔で……姉ちゃんに会ってこい」
……海里の目に涙が溜まってきた。
海里が瞬きすると同時に……涙がこぼれる。
一度こぼれた涙は止まることを知らず……次から次へと流れていく。
「俺っ……メッチャ悔しいですっ……」
……海里の背中を擦ってやれば、嗚咽を漏らしながら本当に悔しそうに言葉を吐き出していく。
……コイツは大丈夫だ。
きっと……来年はもっと成長してここに帰ってくる。
俺は観客席にいる七海さんの方を見た。
七海さんは立ち上がって、優しい笑みを浮かべながら……でも、誇らしげに海里のことを見つめていた――