青空バスケ―2nd―
次の日、学校に行こうとあたしが家の外に出ると、大和があたしの家の塀に寄りかかって立っていた。
「……大和?」
朝はいつもバラバラに行く。
朝練のためにあたしは早く行ってカギを開けなきゃいけないから。
それに、大和は早起きとか苦手だし。
朝練がない今日みたいな日でも、偶然会うことはあっても待ち合わせして行くようなことはない。
それは昔からのこと。
「どうしたの?」
珍しい……。
「昨日、言い忘れたことがあって」
「言い忘れたこと……?」
あたしは首を傾げた。
外は朝から太陽が眩しかった。
今日もいい天気。
「……これが最後のチャンスだから」
そう言って、大和はあたしの手を取ってその中から一本の指……小指を選んだ。
「今年こそは……絶対連れて行くから」
「え………」
「インハイ。
……もう、今年しかないだろ?」
大和……。
大和は自分の小指とあたしの小指を絡めた。
「約束、な」
「……うん。約束」
大和は優しく笑ってあたしの頭をポン、ポンと撫でると、そのまま学校の方へ歩き出した。
「あ、待ってよ!」
あたしは慌てて大和を追いかける。
太陽に照らされた大和の背中は……これ以上ないぐらいにキラキラと輝いていた。
八年前に交わした約束。
去年の約束。
そして……今年、最後の約束――