青空バスケ―2nd―
両校が整列し、暁弥が俺の前に立つ。
……東第一の選手は何人か泣いていた。
礼をし、他の奴らがベンチへと戻っていく中……俺と暁弥だけは動かなかった。
「……大和」
暁弥がスッと俺の前に手を差し出した。
「すげぇ悔しいけどさ……でも、すげぇ楽しかった」
暁弥は俺の方を見て、笑った。
無理して作ってる笑顔とかじゃなくて……心の底から笑っていた。
「俺の引退試合が……大和との試合でよかった」
……俺は差し出された暁弥の手に、自分の手を伸ばし……固く握手をした。
「……俺も楽しかったよ」
そして……良い試合だった。
何年もバスケをやってきた俺の記憶の中に一生残るぐらい……。
手を離すと、暁弥は俺の後ろの方にある何かを見て優しく笑った。
「……早く行ってやれよ。
誰よりもお前のことを応援してくれた人のところに」
「言われなくても分かってるっつーの」
俺は小さく口元を緩めると、体の向きを変えてベンチの方に向けて歩き出した。