青空バスケ―2nd―

「それが俺の中での一つの目標っていうか夢だったっていうか……」


でも……今、その夢だった状況にあるわけだし。


「だから……俺の夢、叶えてもらっていい?」


ずっとここで伝えたかったこと。

たった一人……栞奈に聞いてもらいたかったこと。


……俺は立ち上がって栞奈の方を見た。

栞奈がじっと俺の目を見つめる……。


「……好きだよ。
本当、自分ではどうしようもないぐらいに。
今までも……これからも、ずっと」


一生のうちで、こんなに好きになれる人とはもう出会わないだろう。

それぐらい好きなんだ。


「この先、大学に行って就職して……何があるか分かんないけどさ。
でも、俺……栞奈が応援してくれたら何があっても大丈夫な気がする」


スッ……と栞奈の前に手を差し伸べた。


「だから……これからもそばにいて。
……俺のそばに」


栞奈がいなきゃ成し遂げられなかった夢。

そばで応援してくれる人がいたから……叶えられた夢。


……栞奈は優しく微笑むと、俺の手の上に小さな手を重ねた。


「……うん。
……そばにいるよ。ずっと」


……俺は栞奈の手を引いて立ち上がらせると、ギュッと華奢な体を抱きしめた。


「……好き」


栞奈の小さな声が聞こえた。

……栞奈は顔を上げて俺の顔を見ると、いつものようににっこり微笑んだ。


俺はそんな栞奈の唇に……そっとキスを落とした――


< 196 / 201 >

この作品をシェア

pagetop