青空バスケ―2nd―
「あ、そうだ!
式が終わったら俺とデートしません?」
「……え?」
「栞奈さんだったら大歓迎っすよ。
この辺だったらいいところいっぱい知ってるし」
「いや……あの……」
「ここで出会えたもの何かの縁だし。
ね?どうっすか?」
「あたしは………」
「こんなチワワみたいな可愛い人、他にいないっすよ。
俺が出会った中で一番」
えぇ……何この子……。
確かに見た目はちょっとチャラいなとか思ってたけど……まさか性格まで……。
「だから、あたしは……」
「栞奈」
いつもの……大好きな声が後ろから聞こえた。
あたしが振り返る間もなく、腕が引っ張られて温かい胸に引き寄せられた。
「大和……?」
「何やってんだよ……お前」
「えっと……迷子……だった」
そうだよ。
最初は迷子だったんだよ。
大和はあたしの予想通りに呆れた顔でため息をついた。
「……で?アイツは?」
アイツ?
大和の視線の先には海里君。
「七海さんの弟。海里君」
「弟?
こんなナンパ野郎が?」
「ちょっと。
その辺のナンパと一緒にするなよ。
俺のは純粋なお誘いだ」
「それをナンパっていうんだろうが」
はぁ……とため息をつく大和。
「ってか、アンタが高瀬大和さん?」
「……そうだけど?」
海里君は何か面白いものでも見つけたように口元を緩ませた。
「また会えたらいいっすね、二人とも」
海里君はそう言ってあたし達に背を向けて歩き出していった。
「……二度と会うか、バカ」
大和はなぜかイラついてるみたいだった。
この二人がいつか戦う時が来るといいな……。
そう思った、春休みの間の出来事――