青空バスケ―2nd―
あたしは急いで下まで降りて中庭に出た。
大和はベンチに座ったままだった。
「大和……」
あたしが声をかけると、大和はゆっくり顔を上げてこっちを見た。
「……栞奈か。
どうした?」
「どうしたって……もう休憩終わってるよ?」
あたしがそう言うと、大和は外に設置してある時計を見た。
「あぁ……もうそんな時間か」
……やっぱり、おかしい。
いつもの大和じゃない……。
「……今行くよ」
そう言って大和はゆっくり立ち上がった。
……でも、どこか元気がなくて……。
何かあったことは一目瞭然だった。
「あ……大和!」
「……ん?」
大和が振り返ってこっちを見た。
……聞こうと思った。
どうしたの?って……。
でも……
「……何でもない」
聞くことができなかったのは……きっと、大和の目がいつもと違ったから。
今、目には見えない何かを……鋭い目で見つめていたからだと思う……。