青空バスケ―2nd―
あたしはこの前の中庭のベンチへ向かった。
多分……ここにいるはず。
「………いた」
あたしの予想通り、大和はこの前と同じ場所で項垂れていた。
だけど……何となく声をかけるのを躊躇った。
何でだろう……。
……でも、もう体育館を閉めて帰らなきゃいけないから……。
「……大和」
あたしが声をかけても、大和はこの前みたいに顔を上げることはなかった。
「……何?」
下を向いたまま……言葉が返ってきた。
「あのね……もう体育館閉めなきゃいけないから」
「……あぁ……いいよ、俺がやっとくから」
「けど……」
「……蓮にもそう言っといて。
すぐ戻るから開けっぱなしでいいって……」
大和………。
「でも、大和……」
「栞奈」
……いつもとは違う大和の鋭い声が聞こえ、あたしは思わず口を閉じた。
「……悪いけど、一人にしてくれ」
「っ……………」
……大和の言葉が……あたしの胸に重く、深く突き刺さった。
「……うん、分かった」
それ以上はもう何も言えなくて……黙ってそこから立ち去ることが精一杯だった。