青空バスケ―2nd―
「大和の大好きな可愛い栞奈ちゃんが泣きそうな顔でしたけど」
「……そう」
「選手の気持ちが分からない。
マネージャーはただの雑用係。
自分じゃなくてもいいんじゃないか……って」
「自分じゃなくてもいいって……」
「そのまんまの意味。
別に栞奈がマネージャーじゃなくても、誰か代わりがいるんじゃないかって」
「そんなことあるわけっ……」
「そういう風に思わせたのはお前だろ」
ハル兄にそう言われて……言葉が詰まった。
俺が……
「今のお前の態度のせいだけではないとは思うけどさ。
……大和、栞奈が隣にいることを当たり前に思ってるだろ」
「………え?」
「……当たり前でずっと変わらないものなんて……この世にはない」
ハル兄が真剣な目で俺を見た……。
「いつかは何かが変わる。
その瞬間がいつくるかは分からない。
……栞奈だって、ずっと大和のそばにいるとは限らない」
……ハル兄は少し切なげな目をした。
……ハル兄には経験があるのかもしれない。
ずっと当たり前のようにそばにあったものが……なくなってしまうようなことが。