青空バスケ―2nd―
……その時だった。
俺の後ろでトン、トン……とボールが弾む音が聞こえた。
「ったく……しょうがねぇな」
その声に驚いて俺は勢いよく振り返った。
「蓮……」
蓮はドリブルをしていた手を止めると、俺の顔を見て笑みを浮かべた。
「俺が特訓してやるよ」
「……蓮?」
「いつまでもキャプテンが試合に出ないわけにはいかねぇだろ。
とばっちり受けるの、俺だし」
蓮……。
「岬」
「え?……わっ……」
蓮が持っていたボールを栞奈に投げた。
慌てて栞奈がそれをキャッチする。
「それ持って見てて。
大和が俺にボロカスにやられるとこ」
「誰がボロカスになんか……」
反論しようとした俺を見て、蓮がニヤリと笑った。
「……それぐらいやる気出してもらわなくちゃな」
……高校に入って、迷わずバスケ部に入って。
そこで出会ったのは……蓮。
蓮は何だかんだ言って俺を支えてくれた。
副部長として、部員として……そして、親友として。
「絶対負けねぇから!」
「……久々だな。
その大和のバスケ馬鹿すぎる顔」
「お前だってそうだろ」
「俺はもうちょっと上品ですー」
「それじゃあ、俺が下品みたいじゃねぇか」
「まぁ……上品ではないな」
「ちょっ……おい、蓮!」
朝。
たった三人しかいない体育館。
なのに、なぜか騒がしくて。
バスケそっちのけで言い合いをする俺達。
そんな俺と蓮を微笑ましそうに見つめる栞奈。
またいつもの日常が……ありきたりだけど、かけがえのない日常が……戻ってきた――