青空バスケ―2nd―
「あー、美味しかったな~……」
帰り道。
栞奈は本当に幸せそうな顔をしながら歩いていた。
「何やってたんだよ」
「駅前のケーキ屋さんでね、ずっと七海さんとガールズトークしてたの」
あぁ……ハル兄の可哀想な顔が目に浮かぶ……。
「大和は?」
「え?」
「楽しかった?」
栞奈が俺の顔を覗き込みながら聞いてきた。
そんな栞奈の頭を撫でながら、答える。
「……あぁ。
アイツ、すっげぇ良いヤツだったよ」
初めて会った時はただのナンパ野郎としか思ってなかったけど……
アイツは本当にまっすぐな良いヤツだ。
「だから……尚更負けられねぇ」
「……うん。
頑張ってね、大和」
頑張るよ。
その笑顔がそばにあれば……頑張れる気がする。
「あ……もう日が沈みかけてる。
早く帰ろう。大和も疲れてるでしょ?」
栞奈が夕日を見ながら足を進める。
……俺はそんな栞奈を見ながら、歩みを止めた。
俺が止まったことに気づかない栞奈は少しずつ離れていく……。
「栞奈」
俺が声をかけると、栞奈はすぐに振り返った。
「何?」
笑顔で聞き返す栞奈。
夕日に照らされ、栞奈はオレンジ色に光って見えた……。
「……俺、今年は勝つよ。
海里も……暁弥も倒して……インターハイに絶対行ってやる」
……栞奈は黙ったままゆっくりと頷いた。
俺はそんな栞奈に……あと一言だけ言葉をかけた。
「……好きだよ」
今……どうしても伝えたくなった。
目の前にいる栞奈に……どうしても。
「大和………」
栞奈は少し驚いたあとすぐに笑顔になって俺の方に近づいてきた。
「大和……大好き!」
栞奈はそう言うと俺に抱き着き……そのままキスをした。
「なっ………!」
突然の栞奈の行動に驚く俺……。
ていうか……絶対顔赤い……。
「アキ君がね、こうすると大和が喜ぶって言ってた」
「アイツっ………」
余計なことを……って思ったけど、実際に嬉しかったから何も言えない。
「……あたし、ここにいるからね」
「……分かってるよ」
俺を見上げる栞奈の唇に……そっとキスを落とした。
大切な人
ライバル
絶対に勝つと……もう一度誓った
茜色の空の下――