ぬくもりをもう一度
「亨くん、ごめんね。

 こんな素敵な彼女さんがいるのに、

 私ってば困らせるようなこと

 言っちゃって。……もう、帰るね」


「香澄! 待ってくれ!」


必死に引き止めようと

もがく俺の言葉など、

今の香澄には全く届かなかった。


香澄はすっと席を立ち上がると、

側に立っている野々原に

軽く頭を下げてからその場を後にした。


なんで―――


なんでこういうことに

なってしまうのだろう。





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