ぬくもりをもう一度
「もう……。

 俺は、香澄に逢えないのか」


天井に向かってぽつり呟く。


その言葉が虚しく宙を漂って

すうっと消えていく。


野々原の無神経なまでの暴走、

そして香澄への誤解、

これらをどう処理すればいいのか分からず、

深い溜め息がもれる。


その時だった。


テーブルに置かれている

俺の携帯電話が、鳴り始めた。






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