ぬくもりをもう一度
日付が変わろうかという時間に、

一体誰からだろうか。


面倒な相手からじゃないことを祈りつつ、

目を閉じたまま通話ボタンを押す。


「もしもし……」


「阿久津さん、俺っす。

 こんな時間にすいません」


「郁哉か?」


はい、と軽やかな声が耳に届く。


いつもより声のトーンが

高いところからすると、

どうやら郁哉はだいぶ

酒がまわっているらしい。


時々、数人の女の声がする。





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