ぬくもりをもう一度
震える声で叫ぶ香澄に、

川尻は微笑み続けているばかりだ。


その笑みが、

さらに香澄を恐怖に

陥れていることも知らずに。


「香澄ちゃんのことをつけてきた、

 だって?

 僕はそんな子どもじみたことしないよ。

 “ビジネスパートナー”と、

 情報交換したまでだよ」


「……“ビジネスパートナー”?」


小さな声で香澄が呟くと、

川尻はにっこりと笑って頷いた。


川尻の言葉の意味がつかめない。


ビジネスパートナーとは、

一体どういうことなのだろうか。


不穏な空気漂う中に、突如、

無機質な機械音が流れ始めた。





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