ぬくもりをもう一度
野々原がばら撒いたものを

全て集め終わると、

俺たちも席を立つ。


どれだけ店に迷惑を

掛けてしまっていたのか、

マグカップを返す時の

店員の態度が物語っていた。


眉間にしわを寄せるような、

好奇な視線をむけ続けていたのだから。


「すいませんでした」


たまらず謝ると、

店員の顔が瞬時に

営業用の笑顔を俺たちにみせた。


「いえ、大丈夫ですよ。

 ありがとうございました」


そんな店員にもう一度頭を下げて、

店を出た。





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