ぬくもりをもう一度
部署を異動したのか、

それとも会社を辞めてしまったのか、

何も分からないまま

俺の前から去っていったのだ。


上司からも特に説明がなく、

今日に至っている。


俺の隣は、空席。


無機質で大きいデスクがあるだけの、

虚しい空間と化していた。


もう、

野々原と顔を合わせることはないのだ。


ふと時計に目をやる。


終業時間まで、

あと僅かとなっていた。


「もうすぐだな……」


周りに聞こえないように

小さな声でぽつりと呟く。


実は今日これから、

香澄とクリスマスデートをする

約束をしているのだ。




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