ぬくもりをもう一度
本当なら明日逢うべきなのだけれど、

俺が今抱えている仕事の関係上、

1日早くしてもらった。


大手クライアントとの契約が、

明日なのだ。


その大役を今回、俺が担っている。


失敗が絶対に許されない

相手だからこそ、

祝日であるにも関わらず、

社員全員が出勤し来るべき明日に

備えている。


香澄には本当に悪いと思っている。


再度、恋人関係になってから

初めてのイベントだというのに。


しかし香澄は、

俺のことをすっかり理解しているのか、

ふわりとした声で「うん」と

優しく受け止めてくれた。


そんな香澄の温かさに救われている。





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