ぬくもりをもう一度
思わず香澄を抱き締めたい

衝動に駆られる。


でも、ここは都会のど真ん中。


しかも俺の職場の最寄り駅。


いつ同僚がここに現れるか

分からない場所で、

さすがにそれは出来ない。


ぐっと感情を堪えつつも、

俺は香澄の手を取り指を絡ませた。


手を繋ぐぐらいなら、大丈夫だろう。


それに応えるように、

香澄の指が絡みつく。


「じゃ、行こうか」


俺の言葉に、

香澄は小さくこくんと頷いた。





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